日本人のためのイスラム原論/小室直樹



2002年刊。2001年のアメリカ同時多発テロ事件を受けて書かれたであろうことは予想できます。ただし、小室直樹さんはこれ以前に『日本人のための宗教原論』を書かれていて、その中で
「イスラム教がわかれば宗教がわかる」
「一番完成度が高い宗教はイスラム教である」
と何度も繰り返し述べています。テロ事件とは関係なく、書かれるべくして書かれた書だと言えると思います。

<目次>
第1章 イスラムが分かれば、宗教が分かる
第2章 イスラムの「論理」、キリスト教の「病理」
第3章 欧米とイスラム―なぜ、かくも対立するのか

マックス・ヴェーバーの議論を下敷きにし、同じ啓典宗教であるユダヤ教、キリスト教徒と比較しています。のみならず時に中国とも対比させながらの解説はとてもわかりやすい。Revolutionと革命の違いをこれだけわかりやすく解説している本は、僕は読んだことがありません。

わかりやす過ぎて「ホントか?」と思うところがあります。僕自身は、他の書籍からイスラム教へのうっすらとしたイメージをつかんでいたのですが、やっと一本筋が通ったというか、バラバラだった知識が一つにまとまったような気がしています。

ただ、これは小室さん的な視点に過ぎないのかしれません。よく考えたら、僕が読んできた書籍の著者は、小室さんの薫陶を受けた人が多いのでした。橋爪大三郎さんとか宮台真司さんとか。
他の人の本も読んでみないと、と考えつつ、博覧強記の小室さんから学んだことが、そう簡単にひっくり返るとも思えない。例えば、『イスラーム文化−その根柢にあるもの/井筒俊彦』あたりを読もうと思いますが、小室さんはちゃんと井筒さんの議論は踏まえています。



とはいえ、比較が大事だということも、一つの説を盲信することもしてはいけないと教えてくれたのは小室さんですから、他にも読んでいこうと思います。他の宗教を知ることで、自分の立ち位置がみえてくることはあるはずなので。


イスラムを知りたければ是非とも読むべき本です。
ただし、キリスト教徒は胸くそが悪くなるかもしれません。前半はキリスト教をぼろくそに書いているところがあるので。最後まで読めば、その意味がわかるとは思いますが。

そしてあわせて『宗教原論』も読めば、つながりが見えてくると思います。