にほんブログ村 本ブログ ビジネス書へ



栗本薫と中島梓 世界最長の物語を書いた人 / 里中高志

僕は『グイン・サーガ』を知らない。栗本薫といえば『ぼくらの時代』。中島梓は「クイズ ヒントでピント」の女性チームキャプテン。この二人が同一人物だと知るのは高校生になってからのことだった。その意味で、僕は栗本薫・中島梓の熱心な読者ではありません。
にもかかわらずこの本は興味深く読み進めることができました。著者の取材力と文章力のなせる技だと思います。

<目次>
序章 移りゆく時
第1章 父と母
第2章 物語る少女(〇歳~十二歳)
第3章 才能の萌芽(十二歳~十八歳)
第4章 青春の熱情(十八歳~二十二歳)
第5章 無名から有名へ(二十三歳~二十四歳)
第6章 狂乱の季節(二十四歳~二十五歳)
第7章 “グイン・サーガ”の誕生(二十五歳~三十一歳)
第8章 舞台と小説と(三十一歳~四十四歳)
第9章 メメント・モリ(四十五歳~五十六歳)
エピローグ 物語は終わらない


栗本薫と中島梓。同じ人だと周知の事実でありながら二つの名前を使い分け続けたのはなぜだったのか。僕の疑問はそこにつきました。

明確が答えがわかるわけではないですが、彼女がもともと持っていた「二面性」に関わるのだろうという想像はできます。そうなっていった生い立ちというか家庭環境にも言及されています。
本の世界こそが彼女の本当の世界だったのかもしれません。だから膨大な量の本を読み続ける。その蓄積が彼女を、多作で、「○○作家」というジャンルでは表現できない幅広いフィールドでの活躍につながったのだと思います。

その裏には、さまざまな葛藤があったことは推測できます。本書の中でも言及されている部分があります。しかし、そうした葛藤がない人間が書く小説が面白いはずがない。苦悩なくしてどうやって小説を書くのか、とさえ思います。栗本薫の苦悩の一面を垣間見られただけでも、本書を読んで良かったと思います。

ひさしぶりに『ぼくらの時代』を読み返してみたくなりました。