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自由に働くための仕事のルール 父がわたしに教えてくれなかったこと/秋山ゆかり



「前倒し」でキャリアを進めるためになにをすればいいのか。この課題に対して答えを示した本です。

もともと日経ビジネスオンラインに連載された「秋山ゆかりの女性キャリアアップ論」が基になっています。ですから、想定読者は女性です。結婚や出産、育児などでキャリアが中断してもいいように、前倒しでキャリアを作っていこう、そのためになにを身につけるべきか、という趣旨になります。

しかし、内容の9割以上は男性にとっても知っておくべきことだと思いました。友人(男性)は現在、育児休暇取得中ですが、これからはそういう人も増えていくでしょう。介護の問題もあります。共働きを前提にすれば、いままでのように嫁に任せるわけにはいかなくなると思います。また、体調を壊してキャリアを一時中断する場合も考えられます。

男性も、前倒しキャリアを意識したほうがいいのだと思います。そしてなにより、求められる力は、ビジネス全般で有効なスキルです。どんな人でも身につけるべきものだと感じました。

著者は、事業開発コンサルタントで声楽家でもある秋山ゆかりさん。以前の著書である『考えながら走る―グローバル・キャリアを磨く「五つの力」―』を読んで以来、個人的にもいろいろ学ばせてもらっています。

<目次>
■はじめに
第1章 ポータブル・スキル1 対他人力
― 自由に働くためのコミュニケーションスキル
第2章 ポータブル・スキル2 対自分力
― 自由に働くためのセルフマネジメントスキル
第3章 ポータブル・スキル3 対課題力
― 自由に働くためのワンランク上のビジネススキル
■「前倒しキャリア」を実現するには
■[特別対談] 「“壁を越えられない"女性に足りないもの」
——茅野みつる(伊藤忠商事株式会社 常務執行役員/伊藤忠インターナショナル社長)


秋山さんは、仕事に必要とされるものとして
  1. ポータブル・スキル 
  2. テクニカル・スキル(特定の業界・職種に必要なスキル)
  3. スタンス(基本的な考え方や価値観)
の3つをあげ、その中で最も重要なのは「ポータブル・スキル」だと言われています。

ポータブル・スキルとは、業界や職種を超えて、どんな仕事でも必ず求められるスキルです。これを3つの領域に分け、第1章「対他人力」、第2章「対自分力」、第3章「対課題力」、各章3つから4つの必要な力をあげて説明しています。

どれも必要とされる力です。僕自身、この歳になるとさすがに、知らないとかまったくできていない項目はありませんでした。しかし、ある程度できていると思うことと、やってはいるけどうまくできている実感がないことに分かれました。

中でも次の3つは、できていないことを痛感しました。

ひとつが社内政治
たとえば、根回しや社内情報の収集などは避けて通ってきました。なんとなくあざといような気がしていたからです。しかし、自分の考えを組織の中で実現しようとすれば、必要不可欠なことなのかもしれない、と思うようになりました。人間は感情で動きます。感情を手当せず無視して、正論を述べたところで人は動かない。動いてもらわないと何も実現できません。

社内政治というから聞こえは悪いですが、これは「コミュニケーション」なんだと思います。

次に仮説思考
意思決定にあたって、イシューツリーを使う例がでてきます。いままで、イシューツリーは何度も書いてきています。会議などで説明をする際に活用してきました。しかし、意思決定を求められることはたびたびあったにもかかわらず、そうした場面で使ったことはありませんでした。

例を読みながら、こうやって課題を整理して、意思決定に活用すればいいのか、と気づかされました。ですが、なぜ活用できていなかったかといえば、仮説を仮説とでず、一気に正解を出したいと考えてしまっていたからだと思いました。

意思決定にスピードが必要なことと、ひらめきで意思決定することは違うのです。そこが整理できていなかったと感じています。

最後に「修羅場に飛び込む」。
ポータブル・スキルを早く高めるには修羅場を経験するといい、だからあえて自ら飛び込む選択をしよう、と書かれています。

自分で過去を振りかえってみると、修羅場に育てられたとは思います。「孤独感と恐怖感が人を育てる」と公言していた時期もありました。ただ、自分から飛び込んだ自覚はありません。そんなつもりはなかったのにいつの間にか修羅場になっていたり、気づいたら会社が倒産していたり。修羅場になるとわかっている場面では常に逃げていたように思います。

巻き込まれるだけでなく、自分から選択をしていたら、もっと早くいまよりも高いところに行けたのではないか、と思いました。

「こんな修羅場には飛び込むな」とのアドバイスも書かれているので、それを参考に、自分から選んで修羅場に飛び込んでみようと思います。あと10年、アクティブに行くと決めているので、その一つとして、実践していきます。

他にも、タイムマネジメントのこと、メタ認知のこと、成果を出すことなど、多くの気づきをもらえました。冒頭書いた通り、女性向けの体裁ですが、男女問わず、仕事をしていくうえでの大切なルールが書いてあるので、男性もぜひ読んだ方がいいと思います。

なおタイトルに「自由に働くための」とありますが、これは組織の中でどうすれば自由に働けるか、がテーマです。ビジネス書にありがちが、組織を抜けて自由になろうという本ではありません。

しかし、ポータブル・スキルは、どんな仕事でも必ず求められるスキルですから、結果的にフリーになっても役に立つことばかりです。いや、フリーランスとして大きな組織と仕事をする上では、必ず押さえておくべき内容だと僕は思います。

女性は必読、男性も若手は必読です。僕のように歳を取っていても、手に取ってみてください。学ぶことはたくさんあります。

*同時発刊のこちらも一緒に読んでみてください。こちらも女性は必読です。

自由に働くための出世のルール 父がわたしに教えてくれなかったこと