にほんブログ村 本ブログ ビジネス書へ

ビジネスにうまい文章はいらない 「書き方のマインド」を変える新・文章術55/上阪徹


上阪徹のブックライター塾」という講座があります。僕は一昨年、3期生として受講しました。その塾で教わったことのエッセンスがこの本には書かれています。

だから、僕にとって「知識」としては既知のことがらがほとんどです。しかし、できているかどうかは別問題です。

「よしよし、できているぞ」と思うこともあれば、「できてないなあ」と反省することもあります。特に、できていないことについて「なぜできていないのか」を考えながら、読み進めていきました。

〈目次〉
第1章 ビジネス文章の基本的心得 文章に対するマインドセットを変える
第2章 悩まずに文章を書き上げる 文章は「素材」からできていることに気づく
第3章 ビジネスメールは、こう書けばいい かしこまったメールより、短くわかりやすいメールを
第4章 日報、感想文、企画書まで、読み手に伝わる書き方 これで、会社で書く文章は怖くなくなる
第5章 SNS、ブログにおける文章の考え方 ネタは世の中に有り余るほどある
第6章 長文を書く、書き物に挑む 長い文章だって、もう怖くなくなる

特にできていないと思ったのは、
「うまく書こう」という呪縛を解く(p21)
です。

メールや報告書、レポート、論文、補助金の申請書など、ビジネス文書を始め、ほとんどの文章では、「うまさ」よりも「わかりやすさ」「伝わりやすさ」が大切になります。

頭ではわかっています。しかし、無意識のうちに「うまい文章」を書きたいと思いながらキーボードを打っていることがよくあります。高校時代に「こんな文章を書きたい」と憧れたのが、太宰治や坂口安吾の小説や山口瞳のエッセイで、いまでもどこかで、そういうものを書きたいと思っているのかもしれません。

そんな文章を僕は書けない、とかなり昔に気づいていて、だから「わかりやすいものを書く」ほうを選びました。仕事で書く以上、それが求められることでしたし。ただ今でも、「この文章、うまいなあ」と感じるものに出会うと、憧れの気持ちと嫉妬心が湧いてきます(苦笑)

まだ葛藤もあるかもしれませんが、目指すものは明確です。少しずつでも呪縛を解きながら、うまい文章ではなく「伝わる文章」を書いていこうと思っています。


さて、この本の全体を貫いているポイントは、第2章に書かれている
『文章は「素材」からできている』
だと思います。

3章以降、具体的な文章の種類ごとに書き方を説明されていますが、結局、根底に流れているのは「どうやって適切な素材を選ぶのか」です。この基本の上に、「この文章を書く目的は何か」を乗せることで、それぞれの文章が書きあがっていきます。

メールであれ報告書であれ企画書であれ、書くための素材がそろっていなければ書きようがありません。素材がないまま、机に向かってうなっても、一行も書き進められるわけがありません。

逆に素材がそろってさえいれば、あとはどれを選べ、どれを捨てて、どんな順番で書いていくかを決めるだけです。それが決まれば、その通りに書いていけばいいのです。

適切な素材を集めることに関しては、できていることもあれば、できていないこともあります。確実に言えるのは、うまく素材を集められたときは、きちんとしたものが書けていますが、集められないとクオリティの低いものになってしまうのを、自分自身、身をもって実感しているということです。

書き始める前に、文章の良し悪しはの8割は決まっています。うまく文章を書く力が必要ないとは思いませんが、その前に、素材を集めるためのインタビュー力、観察力をつけないといけません。素材を吟味し並べ替える全体構成力とでもいうべき力も養うことが、伝わる文章が書けるようになる大きな要因だと考えています。

まずとにかく、この本の第1章・第2章をよく読んでみましょう。基本の考え方、心構えを自分に落としみましょう。メールの書き方が知りたいと言って、第3章からいきなり読み始めない。

基本が腹落すれば、応用はいくらでもできます。それぞれの文章の特徴にあわせて、書き方を学べばいいと思います。

文章を書くことに苦手意識が強い人ほど、読む価値のある本です。ぜひ手に取ってみてください。

<追記>
*ブックライター塾の体験記はこちらです。
【セミナー】上阪徹さんの「ブックライター塾」第3期を修了して

*僕が(一方的に)上阪さんと出会った本の書評はこちらです。
書いて生きていく プロ文章論 / 上阪徹