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探してるものはそう遠くはないのかもしれない/新井見枝香



和田裕美さんが書いた(現時点で)唯一の小説が『ママの人生』です。

刊行された当時、いくつか出版記念イベントがありました。その一つ、三省堂池袋本店で行われたトークイベントを企画したのが、この本の著者の新井さんです。

そのときまで、新井さんのことは存じ上げませんでした。でも、どうも面白い活動をされているらしいと耳に入ってきましたし、和田さんのイベントそのものが面白かったので、どんな方なのか、調べてみました。面白い活動なんてものではありませんでした。

新井さんが好きな作家をゲストに迎えて、打合せ一切なしのトークを繰り広げる「新井ナイト」。この半年で、いちばんおもしろかった本を新井さんがたった一人で選び、勝手に表彰する「新井賞」。これは、芥川賞・直木賞と同じ日に発表されます。

両方とも、三省堂書店名物イベントになっています。

完全に、枠からはみ出て仕事をされているんだ、と思いました。

<目次>
#01 会社に向いてない
#02 結婚に向いてない
#03 大人に向いてない
#04 たまには向いてることもある
#05 生きるのに向いてない

そんな新井さんが書かれたエッセイ集です。

先に言っておきますが、ビジネス書ではないですから、この本を読んだからといって、知識が身についたり、ノウハウが手に入ったりはしません。一見、なんの役に立ちそうもない文章が並んでいます。

でも、これがおもしろい。視点が独特です。なにげない日常を切り取って、こんなにおもしろくおかしく書き上げる筆力はうらやましくもあります。

現実と妄想が入り乱れていたり、脱線した話が延々と続き、いつ本題にもどるのか、わからない。でもそれがちゃんと伏線になっていて(時に「これは伏線だ」と解説が入ります(笑))、最後にはちゃんと着地します。時に、放り投げられたように終わったような印象を受けることもあったのですが、それは次の章への伏線だったりもします。

レポートやビジネス書的な文章を書く上では、真似しないほうがいい(笑)

でも僕は昔、こういう文章を書けるようになりたかったのです。自由に話が飛び回りながら、最後にちゃんと着地をさせて、みんなを楽しませることのできる文章。高校生のころ、そんな文筆に憧れていました。

もっともそういう意味では才能がないことは、早期に認識してしまったので、いまはオーソドックスに、伝わりやす文章が書けるようにと、努力をしています。ただ、こういう文章に出会うと、昔のそうした憧れがうずくのです(苦笑)

中には、妄想が続いたり、自虐ネタが多かったりするので、受け付けない人もいると思います。しかし、僕は楽しませてもらえました。なにより本人が「面白がって」書いているのが伝わってきます。

騙されたと思って、ぜひ手に取ってみてください。自分がいかに、凝り固まったものの見方をしているのか、気づくかもしれません。

<参考まで、冒頭に出てきた和田裕美さんの書籍です>
ママの人生