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藩の借金200億円を返済し、200億円貯金した男、山田方谷/皆木和義



NHKBSプレミアムで放送中の『英雄たちの選択』の選択を見て、山田方谷を知りました。
「“奇跡”の藩政改革者 山田方谷 無血開城に挑む」
日本史が得意だと言いながら名前すら知らなかったのですが、番組を視ていくうちに
「この人は凄い」
と思いました。そこでもう少し知るべく、この本を入手し読んでみました。

<目次>
第1部 山田方谷の生き方と考え方
第2部 士民撫育と至誠惻怛の藩政改革
山田方谷は、農民の出でありながら陽明学を学び、身分の壁を越えていきます。もともと山田家は武家であったのが没落して農民になったということで、父親は「御家再興」を彼に託し、子どものころから学問をさせた環境も大きかったでしょう。

20歳を超えると、当時の藩主に呼ばれ、藩校への出入りを許されます。さらに、京都、江戸へと留学して、学問を深めます。藩に戻ったのちは、藩校の責任者として教育者の道を歩みます。

普通ならこれで穏やかに人生を終わるところかもしれませんが、時世がそれを許しません。新しい藩主のもと、40歳を超えてから、実質財政破たんを起こしている藩の行政を任されることになります。

そしてタイトルにある通り、約10年で「借金200億円を返済し、200億円貯金」したのでした。著者は、彼に先行する改革者として、上杉鷹山の名前をあげています。鷹山も確かに素晴らしい改革者です。ただ、出自と何年で成果を出したかを考えると、山田方谷は鷹山を超える財政家だと言えるのではないかと思います。

その手法は、贅沢をいさめる一方、殖産興業に勤めます。緊縮財政だけではなく、金融緩和だけでもなく、とたとえるといいではないでしょうか。また、殖産興業においても、地元の眠れる資源を活用してどういう産業を興していくか、研究します。他藩の真似をすることはしません。現代の地域おこしの参考になる、というより反省を促されるような取り組みをしています。

教育者として立派でも、実務家としては活躍できない例は多々あります。しかし方谷は、実務家して大きな成果を成し遂げました。特筆すべきことだと思います。

いまの時代から見て、非常に勉強になる(参考になるなどという甘い言葉ではない)ことがたくさんあります。もっといろいろ調べてみたいという気持ちにさせられました。

この本、「~であったろう」「~に違いない」という表現が連発されて、個人的には読みにくい部分がありました。小説の手法を取り入れ、と書かれていたので、それなら司馬遼太郎のように断定してしまったほうが読みやすかったのに、と思わずにいられません。しかし、それを差し引いても、山田方谷についての類書が少ない中、彼の学問的背景と具体的な改革への取り組みを知ることができる、貴重な本だと思います。

ちょっとでも興味を持たれた方、騙されたと思って読んでみてください。