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どんなマイナスもプラスにできる未来教室/石坂典子



著者の石坂典子さんは、埼玉県にある産業廃棄物処理会社・石坂産業(株)の代表取締役社長をされている方です。

著書も2冊あります。うち1冊は以前、ブログにまとめさせてもらいました。
⇒ ■【読書】五感経営 産廃会社の娘、逆転を語る/ 石坂典子

2000年ころ、テレビ朝日が起こした誤報により(所沢地区の野菜にダイオキシンが含まれている)、近隣の産廃業者は地元の人たちから目の敵にされました。その数年前、石坂産業は、ダイオキシンが発生しない最新鋭の焼却炉を導入していたにもかかわらず、です。風評被害を受けた人たちにとっては、事実なんてどうでもよかったのでしょう。恨みをぶつけられる場所、それが地域の産廃業者では大手である石坂産業だったのです。

そんな、会社の危急存亡の秋、典子さんは自ら志願し、社長に就任します。創業社長である父親に直談判するのです。それから、典子社長による改革が始まります。いま石坂産業は、地域に密着し、地元に愛される会社に変貌しています。

<目次>
プロローグ すべては未来を思い描くことから始まる
1時間目 思い描いた未来が勇気と自信をくれる
2時間目 あなたの選択が未来を形づくる
3時間目 ものの選び方が未来を変える
4時間目 未来に残したい自然と感性
5時間目 未来に残したくないゴミ問題
6時間目 「普通」と「みんなと同じ」は未来に必要ない
7時間目 未来に必要なのはリスペクト
エピローグ 自然と美しく生きる

石坂産業を有名にしたのは、地元の里山の保全、再生に尽力し、2012年に経済産業省の「おもてなし経営企業選」に選ばれたことではないかと思います。そして14年には、「体験型環境教育フィールド 三富今昔村」を開村し、工場見学を含め3万人以上の来場者を集めています。

もちろん、ある日突然、こんなことができたわけではありません。そこに至るまで、さまざまな取り組みをしてきた結果です。

そこにはさまざまな思いがあったのだろうと思います。中でも、僕が感じたのは「地元に必要とされる会社でありたい」との思いと、もう一つ、「産廃処理業」という世間から下に見られがちな仕事にきちんと価値を見いだし、誇りを持って仕事ができるようにする。社会的な意義のある仕事だと、社会に認めてもらいたい、という情熱だと思います。

この本には、それを成し遂げようとする過程で、石坂社長が考えてきたこと、試行錯誤しながら取り組んできたことが書かれています。

僕自身は、石坂社長の御著書は2冊とも読んでいましたから、出てくるエピソードは知っている内容がほとんどでした。しかし、「ああ、そのように考えて困難を乗り越えたのだな」、「そうやって取り組むことで、前に進むことができたのだな」と思う箇所が多々ありました。

自分が選択したことに”社会的意義”を見いだすと、人は困難を乗り越える強さを手に入れます。自信が湧くと共に、自分一人ではできないことを助けてくれる人が現れるからです。(p134)

産廃処理の仕事を社会に認めてもらいたい、と書きましたが、それは決して個人の承認欲求から出た話だとは思えません。人が生活すればゴミは出ます。製造業であれ別な産業であれ、経済を回していけば産業廃棄物は必ず出ます。それは誰かが処理をしないといけない。しなければ街中、ゴミがあふれてしまいます。世界でも清潔な街並みだと言われる日本です。ゴミを処理する人たちの尽力は多大なものがあるはずです。

しかし、現実には一段下に見られる職業です。それはおかしい。小さいころから産廃処理工場で働く人たちを見てきていてからこそ、正当に評価されたいとの思いがあったのだろうと思います。さらに言えば、業界のことを考えると、こうした風潮によって、正当な対価が支払われず、そのことが不法投棄を招き、結果的に産廃処理業の地位が低いままになってしまう。そうしたことも払しょくしたかったのではないかと思います。

大切なのは、社会に貢献できる事業を続けるために、会社を存続させること。地域の人たちから必要とされること。そのために私ができることを考えればいい。(p36)

だから、地域の人たちに理解され、必要とされるようになるにはどうすればいいか、考え続けたのでしょう。

そのとき、正論をぶつけても分かり合えるわけではありません。

自分が正しいと思うことをそのまま伝えればいいわけじゃない。
人によってものの見方、考え方は違う。
相手が受け取りやすい伝え方をしなければならない。(p40)

思いが伝わるためにはどうすればいいかも、考え抜いたのだと思います。最初からうまくいったわけではありません。試行錯誤の繰り返しがあったのでしょう。でも、あきらめず続けてきたから、いまの状況までたどり着くことができたのです。

本書はとてもわかりやすくやさしい言葉で書かれています。小学校高学年でも十分読めるでしょう。大人はもちろんですが、そうして子供たちにも読んでほしい本です。自分が思い描く理想に未来に対して、どれだけ貢献できるか。強い思いを持ち、それをどうやって他人を伝えていけばいいのか。それを考え抜くことで未来は変わる可能性があることを感じてほしい。実際に未来を変えてきた人の実例を見てほしいと思います。

もちろん、石坂社長が描く理想の未来はこんなものではないでしょう。もっともっと大きな理想があるはずです。挑戦はまだまだ続きます。それを見守ると同時に刺激を受けて、僕自身も僕なりの理想の未来を創るために、動いていきたいと思っています。

<ぜひ、併せて読んでみてください>
絶体絶命でも世界一愛される会社に変える! ―2代目女性社長の号泣戦記



五感経営 産廃会社の娘、逆転を語る