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投資家が「お金」よりも大切にしていること /藤野英人 


最強のマネー本、解禁。
いや、マネー本じゃないです。お金を通して人生を考える哲学書。
今年(2013年)読んだ本の中でベストです、まだ4月ですが(苦笑) でも、年間通しても3本指に入ることは間違いないと確信しています。

先日紹介した
30歳からはじめる お金の育て方入門 -貯めながら殖やす新しい習慣]
とかぶる内容もありますが、
今回は単著ということで、藤野さん、リミッターを振り切ったという印象です。

とにかく、本音炸裂。そしてそれは、僕が漠然と思っていながら言葉にならなかったことを的確に表現してくれているように思いました。

<目次>
第1章 日本人は、お金が大好きで、ハゲタカで、不真面目
第2章 日本をダメにする「清貧の思想」
第3章 人は、ただ生きているだけで価値がある
第4章 世の中に「虚業」なんてひとつもない
第5章 あなたは、自分の人生をかけて社会に投資している、ひとりの「投資家」だ

第1章で藤野さんはこう書かれています。
・日本人は守銭奴である。
・日本人もハゲタカだ
・日本人はお金を信じている

「そんなことはないないだろう」と思う人も多いかもしれません。でも事実だと僕も思います。

たとえば、アメリカ人は平均で年間家計収入の3%の寄付しますが日本人は0.08%です。具体的な金額で言っても、3.11のあった2011年に成人一人当たりの寄付額は6,551円。そしてこの金額ですら平年の倍の額なのです。つまり普通の年は3,000円ちょっとだ、ということです。

「あれほどの大災害・悲劇に見舞われたのに例年の2倍しか寄付しないというのが、日本人の本性だといえます。」(p35)
「あえて断言しますが、日本人ほどケチな民族はいません。」(p36)

と藤野さんは書かれています。

また、数年前、日本人がブラジル株をもの凄い勢いで購入をしたのに、逆にいま、もの凄い勢いで引き上げています。そしてこうした投資をした方々は、
「ブラジルはダメどうなので、次は中国ですか、インドですか、それともベトナムですか」
というノリで投資先を切り替えています。
リスクを回避しているんだ、ということで理解できなくもないですが、この行動自体、いわゆる「ハゲタカ」といわれた外資系投資会社と何ら違うところはありません。

「私ははハゲタカではない」
というならブラジル株を長期保有すべきでしょう。もし売るなら「私もハゲタカだ」と認めるべきだ、ということです。
(こうした人は、証券会社に勧められたのだ、と言い訳するのでしょうが)

現金・預金が大好きで自分でお金をため込んでいること、、「寄付をしない」という行動は、つまり他人にお金を出したくないということ。これは「他人を信じていない」ということでもあって、結局信じているものは「お金」である、ということになるのです。

こうした具体的な事実やそこから導き出される藤野さんの考えを聞いても
「そんなことはない」
と言えるでしょうか?言えない、というのが僕が結論です。

以上が第1章に書かれている概要です。

そしてこう問いかけられています。

あなたには、「お金」より信じられるものがありますか?
あなたには、「お金」より大切なものがありますか?


第2章以降、このことを考えていこう、とされています。

その部分に関しては、できれば手に取って自ら読んでほしいと思います。僕の稚拙な書評で藤野さんの考えが曲がって伝わってしまうのは僕自身、本意ではありません。 ここから先は個人の人生観の問題も絡んできます。

藤野さんの考えを受けて自分はどう考えるか、
「お金よりも信じれるものがあるか?お金より大切なものがあるか?」
と自分に問いかけるのが一番だと思うのです。

ただ僕は藤野さんの考えに完全に共感しています。何点か、その共感ポイントを書かせていただきます。

ひとつは、経済、あるいは経済学はなんのためにあるのか?ということ。決して個人のお金儲けのためにあるのではありません。

藤野さんの定義は
「お金を通してみんなの幸せを考えること」
です。そして、経済学の祖・アダムスミスも同じように定義しています。

では、お金を通して「みんなの幸せ」に貢献するのはどうしたらいいのか?

それは「各自がよい消費者になること」だということです。

最近、いわゆる「ブラック企業」が話題になっていますが、それを生み出す根本原因は 「過剰な」サービスを求める消費者にある、と思います。「顧客第一」を掲げる企業であればあるほど、こうした「ブラック」な消費者にも対応しようとし、そのしわ寄せが従業員にいき、結果として「ブラック企業」が生まれている。

この負のスパイラルをどこかで断ち切らなくてはならない、と思うのです。そのためには、結局各自がよい消費者になしかないのだ、ということになるのだと思っています。

また、第3章のタイトル
「人は、ただ生きているだけで価値がある」
も強く共感しました。

なぜそう言えるのか、は3章を通して説明をされていますが、僕自身、昨今の「働くざるもの食うべからず」を強調するような風潮、生活保護者はダメだというような論調に強い違和感を感じていました。

その他、さまざまな点で強く共感をした本です。

一昨年くらいから「キャリア(生き方)とお金(経済)」をリンクさせて考えよう、ということで個人的にやってきましたが、その点でもっとも影響を受けた本だと言って間違いありません。

それほどの衝撃を受けた本です。お金の本質とは何か、というよりも、日本人の本質、いや、人間の本質とは何か、について考えさせられました。これだけの本が1,000円以下で手に入ります。僕に騙されたと思って、ぜひ手にに取ってほしい、と強く願っています。
(2013年4月24日記)

(追記)
19刷を期に転載しました。
この本のおかげで、お金に対する考え方、投資に対する捉え方がいい意味で大きく変わりました。
いま読んでもというより、いまこそ読むべき本という気がします。