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会計参謀-会計を戦略に活用する-/谷口学



「経理(会計)は誤解されている」
最近、よくそう思います。経理は金勘定であり、終わったことを整理する仕事だと思っている人が多いでしょう。外部からだけではない。経理を担当している人間が、整理仕事だと考えていて、自分を「事務員さん」だと決めてしまっている様子も見受けられます。

偉そうに書きましたが、僕自身が昔はそう思っていました。だから経理を単相するのが嫌で仕方がなかったわけです(苦笑)

もちろん、過去の数字を整理することは大切です。それがすべての出発点。しかし、そこで留まってしまうのは本来の姿ではないのです。

企業は利益を上げなくてはいけません。それが目的だと言わない。企業には理念があり、それを実現していくのが存在目的だとは思います。しかし、その理念の実現していくために、利益を出すことは必須です。どんな立派な理念を掲げようと、キャッシュが回らなければ存続できません。

過去を分析することで、現状を把握し、未来を創っていく。それが本来、経理に求められることだと、最近は考えています。
「経理とは、経営管理の略語だ」
と公言するようになりました。

<目次>
第1章 会計的思考とは何か
第2章 事業ポートフォリオ戦略と事業評価指標
第3章 M&A戦略と企業価値評価
第4章 予算管理とCVP分析、そしてバランススコアーカード
第5章 意思決定会計と不確実性
第6章 資金調達と説明責任

ざっくり言えば管理会計の本になります。しかし、数多くある管理会計の本とは一味違います。

管理会計はあくまで財務会計を利益の極大化するための経営戦略の技術的手法である。(まえがき ⅳ)

経営戦略と財務会計(経理)の「間」を明らかにすることがテーマだとも書かれています。そこに位置するのが管理会計です。ですからよくある「原価計算」の方法が延々書かれているようなものとは違っています。

管理会計は、財務会計や戦略立案のためのツールを結びついて機能します。経営戦略を考える際に、どのように会計数値を取り扱えばいいのか、との視点で書かれて言います。

全6章、目次を見てもらえば分かると思いますが、それぞれのテーマについて書かれた本は他にも数多くあります。この分野に興味がある人なら、目新しいということもないでしょう。

しかし、それらが1冊にまとまっている本は少ないと思います。だからこそ、この本は価値が高いのです。企業の会計責任者、この本で言う「会計参謀」(それは多くの場合「CFO」です)が、何を考え、どんな役割を果たさなくてはいけないか、知ることができます。

「俺は経理を担当していても、CFOじゃないし」
と思う人も多いかもしれません。しかし、日本企業の多くは、財務会計と経営戦略が分離してしまっています。中小企業であれば、数字とかけ離れた経営者の「勘」で戦略が決められてしまうことも多いでしょう。ですから、経理部長、あるいは経理課長が、「会計参謀」として振る舞う必要が出てきます。

また大企業の場合は、経理と戦略(経営企画室など)が分かれてしまっているケースが多くあります。ここに懸け橋を作らないと、おかしな戦略が出来上がってこないとも限りません。

以上のような意味から、企業の会計に関わる人は読んでおいたほうがいいと思います。一通り読んで、自分により必要な分野が分かればそこを深堀していけばいいわけです。まずは全体像を見渡すためにこの本から入るのがベターでしょう。

「財務・会計が分からずに企業診断ができるか!」

最近、中小企業診断士の大先輩から言われている言葉です。これは外部のコンサルタントのみならず、何らかの意味で経営に携わる人にとって同じく必要とされることだと思います。

会計的思考を磨くために、ぜひとも手にとっておくべき本です。