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臆病な人でもうまくいく投資法 お金の悩みから解放された11人の投信投資家の話/竹川美奈子



ありそうでなかった投資本です。

この類の投資本は、大金を稼いだ体験談が紹介されるものがほとんどです。デイトレードで億の金を稼いだとか、普通の主婦がFXで巨万の富を築いたとか。僕も何冊か読んでいます。そこに書かれている内容が嘘だとも思いません。しかし、役に立ったとは言えないのです。再現性があるとは思えなかったからです。

普通に働いて、趣味の時間も確保して、(僕はほとんど関係ないですけど)家族との時間も大切にしようとすると、とても真似できるとは思えませんでした。よしんば何かを犠牲にして真似をしたところで、同じ結果が出せるとも思えません。相場の環境に左右される要素が大きい金融投資で、過去の成功例を真似しただけでうまくいくなら、みんながウォーレン・バフェットになれてしまいます。
そんなことはあり得ません。

この本は、そんな内容とは全く違っています。

<目次>
はじめに 投資をこわいと思っているあなたへ
第1章 投資信託を使った積み立て投資はなぜ、最適の資産形成法なのか?
第2章 低コストのインデックスファンドを組み合わせて、世界に丸ごと分散投資する方法
第3章 たった1本保有するだけで、簡単&手軽に国際分散投資ができるバランス型投信の活用法
第4章 「非課税」という武器を最大限に生かす確定拠出年金を使った投資法
第5章 自分が応援したい会社や事業を投資家という立場でサポートし、長期的なリターンを得る方法
第6章 コツコツ投資を始める前に押さえておきたい7つのこと
おわりに あなたもコツコツ投資家になろう!  

この本で竹川さんがインタビューをしている11名はみな、普通のビジネスパーソンです。巨万の富をすでに築いている人もいません。「投資が趣味」という人もほとんどいません。つまり僕らと同じ、等身大の市井の人たちだといっていいと思います。そんな人たちが、どのように投資と向き合っているのかが、紹介されています。

キーワードは「コツコツ投資」。コツコツ投資とは、長期でじっくり資産形成に取り組む投資方法だと定義されています。登場する11名は、すべてこの定義に当てはまる人たちです。

だからと言って、11名の投資スタイルが同じなわけではありません。大雑把に分類しても、第2章から第5章までの4パターンに分かれます。細かく言えば、すべて異なるといってもいいでしょう。

年齢や家族構成、居住地などの環境、自分の人生哲学などで投資スタイルは変わってきますし、変わってきていいのだ、とわかるはずです。

僕自身を例にしてみましょう。投資を始めたのは2008年12月。いま考えるととてもいいタイミングでした。その年の10月に竹川さんの『投資信託にだまされるな! ---買うべき投信、買ってはいけない投信』の旧版を読んで、投資を始めようと思いました。でもお金がない(苦笑) 12月の賞与支給を待って始めました。その間に、リーマンショックが起きて、株価は暴落していたわけですが、逆に言えば、底値で始められたわけです。

口座は、カブドットコム証券に開設しました。これも深く考えて決めたわけではありません。メインの銀行口座が、三菱東京UFJ銀行だったので、グループのネット証券だとお金の出し入れが簡単だと聞いたからそうしただけでした。

最初は、典型的なインデックス投資です。竹川さんの本で推奨されていたポートフォリオに従い、日本株(トピックス)、日本債券、先進国株、先進国債権の4つのインデックファンドを積み立てで始めました。しばらくして、新興国株のインデックスファンドを加えました。

時々、個別株やFXに手を出しましたが、全部負けました。このへん、競馬・競輪や半丁博打を趣味で楽しむ程度に考えていたので大金を突っ込んだりはしていませんが、負けてばかりだとつまらなくなって、やめてしまいました。

その後、2011年の東日本大震災を経て、
「自分が本当に応援したい会社に直接投資したい」
そんな気持ちが強くなってきました。そうかといって、個別株で投資していくには限界もありますし、自分が引き受けるリスクも高まります。

そんなとき、レオス・キャピタルワークスの藤野さんが書かれた『投資家が「お金」よりも大切にしていること 』や鎌倉投資の鎌田社長の『外資金融では出会えなかった日本でいちばん投資したい会社』を読んで、その投資哲学に共鳴して、この2社のファンドにお金をシフトしていきました。いままで保有していたファンドは積立額を減らし、その分をこの2社のファンド(ひふみ投信結い2101)に回しました。

あわせて、ミュージックセキュリテーズセキュリテ被災地応援ファンドなど、マイクロファンドにも一部資金を回しています。

この本でいえば、第2章のスタイルから第5章のスタイルに移ってきたところです。今後は、法改正を受けて個人でも加入できるようになる確定拠出年金(個人型DC)についても少し、勉強してみようかと思っているところです。

ここ数年は、投資のために使っている時間はかなり少ないと思います。年に数冊、投資関係の本を読む、月例の「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ」(←ただの飲み会です)に年6~7回参加する、その程度です。それも飲みながら投資以外の話をする時間のほうが長いくらいですので、全然、時間を使っていないといってもいいかと思います。ほとんどほったらかし状態です(ほったらかし過ぎだ、という指摘も受けたりします)。今はそれでいいと思っています。そのうち環境が変われば、また少しスタイルを変えることもあるでしょう。そのタイミングのときだけは、集中的に時間をつかうかもしれない、思っています。

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「老後の資産形成のために一番大切なのは『自分の稼ぎ力』を高めることです」

前に竹川さんから聞いたこの言葉を常に意識しています。

投資の時間を割くなら稼ぎ力を高めるために時間を使いたい。ただし、この場合の稼ぎ力は、長期の視点で考えます。目先の高いフィーを目指すのではなく、端的に言えば65歳を超えても自分で稼げるような力をつけておくことを目指しいます。そのために、金融投資だけでなく、自己投資もしないといけない。場合によっては、いま持っているファンドの一部を解約してでも自己投資に回したほうがいい、と判断する場合もあります。

結局、自分の人生哲学に基づいて投資と向き合うしかありません。だから、金融投資をやらない選択もあり得ます。絶対にやらなくてはいけないわけでもないのです。

ただ、知っていてあえてやらない選択をすることと、知らないからやらないことの間には雲泥の差があります。できれば、知ったうえで自分なりの判断をしたほうがいいと僕は思います。

そのために、投資理論を学ぶのもいいですが、まず僕らと同じような人たちがどんなスタイルで、どんな想いで投資に向き合っているのかを知るのは、参考になると思います。

その意味で、手に取ってほしい本です。いまのところ類書はありません。周りの人とお金の話はしにくい、そうした機会がない人は、ぜひ読んでみてください。

〈参考図書〉
■ 一番やさしい! 一番くわしい! はじめての「投資信託」入門

 

■ たりないお金―20代、30代のための人生設計入門