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20歳の自分に受けさせたい文章講義/古賀史健




いままでも「文章読本」的な書籍は読んできました。数冊「これだ!」と思える本にも出会いました。ですから文章読本のような本はもう読まなくてもいい、それよりも他に読みたい本も読まなくてはいけない本もある、文章読本を読んでいる暇に書け、と思うようになっていました。

でもこの本は別でした。必要があって読んだといってもいいのですが、もっと早く読めばよかった、と思います。もっとも、さまざまな経験をした今だからこそ理解できたこともたくさんあったので、いいタイミングだったとも思っています。

学んだことは書ききれないほどありますが、その中でも三点、取り上げてみます。

〈目次〉
はじめに  「話せるのに書けない!」のはなぜか?
ガイダンス その気持ちを「翻訳」しよう
第1講   文章は「リズム」で決まる
第2講   構成は「眼」で考える
第3講   読者の「椅子」に座る
第4講   原稿に「ハサミ」を入れる
おわりに

「文体が大切だ」
とよく聞きます。僕も「今回は文体を変えてみた」のような使い方をしています。しかし、よく考えると「文体」とはなにか、具体的にわかって書いてきたように思えません。また、どの本を読んでも、文体を明確に定義しているのを見たことがありませんでした。

文体とはリズムである。(p58)

古賀さんは文体をこう定義されていました。確かに文体を”文章の調子”のようなニュアンスで使ってきたな、と思います。では、そのリズムはどうすれば生まれるのかと言えば、

文章のリズムを決めるのは、テンやマルではない。韻を踏むことでも五七五調に揃えることでもない。センテンスの切り方でなければ、改行のタイミングでもない。文章のリズムは「論理展開」によって決まるのである。(p63)

とのことです。ここまで読んできて、自分の中でばらばらだったものがつながったように感じました。

大学受験の浪人時代、「論理が通った文章を書くこと」を仕込まれました。小論文は「論文」である以上、論理が通っていなくてはいけない、と言われていたのです。もっともだと思い、そう書くように努めましたし、実際書いていたと思います。

いま書いているのはけっして「論文」ではありません。その想いがあって論理展開を強く意識することがなくなっていたように思います。支離滅裂なものでは伝わりようがなく、当然、論理を無視しているわけではありませんが、意識の度合いは低かったです。逆に、がちがちに論理で押すと文章が硬くなってしまうのではないか、と考えてしまっていたのではないかと思います。その意識の間違いに気づかせてもらえました。

次に想定読者のことがあります。

アマチュアだろうとプロだろうと、メールだろうと小説だろうと、あらゆる文章の先にはそれを読む”読者”がいるのだ。 (p158)

これも無視して書いてきたわけではありません。マーケティングでターゲットを考えることが必須のように、想定読者を考えない文章はありえないと思ってきました。

ただ、そのターゲットを広く取ろうとしすぎるきらいがあるのだと思いました。マーケティング戦略で言うと、標的市場を大きなセグメントにしてしまいがちになる感じです。 しかし、それでは伝わらない。この本では”八方美人”と表現されていますが、そういう態度で書いても伝わる文章にはならないのだと、感じてきていました。

古賀さんは、そうではなく「特定の”あの人”」に向けて書くのだ、と言われています。振り返ってみれば、以前、「たった一人に向けて書け」という課題で書いたものが、結果的に多くの人に伝わって経験をしたことがありました。ターゲットを広げ過ぎれば焦点がぼやけてしまう。絞り込むことで深く遠くに伝わる可能性が高いのだと再確認できたように思います。

最後に推敲について。

推敲の本質は、赤ペン片手に文中の「推」を「敲」に改めていくことではない。ハサミを使った”編集”こそが推敲の基本なのである。(p229)

自分の文章を推敲するとき、あるいは他人から校正を頼まれたときも、どうしても細かいところに目が行きがちになります。てにをはであったり、言葉の使い方であったり直すことに注力してしまいます。

それも大事な作業の一部だと思いますが、もっと大切なのは全体の構成をどうするかを考え直すことなのだと思いました。これでいいのか、これで伝わるのか、もっと伝わるような流れがなるのではないか。そうしたことを考え抜かなくてはならないのでしょう。

最初に考えた構成案に引きずられたまま、細部を校正しても考え抜いたとはいえません。たまたま最初の案が良かったらいい文章、伝わる文章になるだけで、ある意味、運任せということになります。自分の文章に責任を持つならば、一度白紙にして見直すくらいの心構えを持たなくてはダメなのだと痛感しました。

結局、

文章を書くことは、他者を動かさんとする”力の行使”なのである。(p135)

であることを忘れないようにしなくてはいけない。他人に影響を与えることに対して謙虚にならなくてはいけないのだと思います。

PS
他にもたくさんの学びがありました。いったんはこちらに目を通していただければ感じていただけると思います。
メディアマーカー
なんらか文章に関わる方にはぜひ読んでいただきたい1冊です。