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職業、ブックライター。 毎月1冊10万字書く私の方法/上坂徹



あるところの課題本だったので手に取りました。とはいえ、いやいや読んだわけではありません。上阪さんの本は以前、『書いて生きていく プロ文章論』を読んでいて、とても感銘を受けていましたから、楽しみながら読ませていただきました。

タイトルだけ見ると、ライターや本づくりにかかわる人にしか役に立たないように思えるかもしれませんが、そんなことはありません。また文章術の本でもありません。これは、ブックライターという仕事を通した、仕事論・仕事術が書かれた本です。

<目次> 
はじめに こんな仕事が世の中にあったとは
第1章   ブックライターの仕事はこんなに楽しい 仕事のスタイル
第2章   ブックライターの仕事のパートナー 出版社・編集者との関係作り
第3章 素材が七割、書くのが三割 企画と取材
第4章   「二五〇枚を一本」ではなく「五枚を五〇本」 目次を作る
第5章 毎月一冊すらすら書く技術 書き方と時間管理
第6章   ブックライターとして生きていくには 仕事に向かう心構え
おわりに 人間としての大きな成長をもたらしてくれる仕事

ブックライターについては、まだまだ世の中に誤解が多いと思っています。ただ、そのことに語りだすと長くなってしまい、本来の趣旨とはずれてしまうので、今回は特に触れないようにします。ただ、僕の人生を変えたと思える本のうち何冊かは、「ブックライター」と言われる人がいなければ世に出ていなかっただろう、とだけは言ってお行きたいと思います。

さて、仕事論・仕事術の本ですよ、と先に書きました。仕事にどう取り組むか、という点でたくさん、参考になるところがありました。僕自身、取材をしたり、それをもとに文章を書いたりという機会が、ないわけではありませんから、そういう部分でも勉強になり、真似しなくてはいけないと思えるところがありました。ただ、今回はそれにこだわらず、仕事への姿勢そのもので二つほど、取り上げてみます。

未来の目標を立てて、そこに近づくために、さまざまなステップを踏んでいく、というスタイルもあるかもれませんが。それもありませんでした。私はただただ流されて今に至っているだけなのです。目の前の仕事、いただいた仕事にとにかく向き合ってきた。ただ、それだけ。ところが結果的に、それが良かったのだと私は思っています。(p27)

僕は一応、目標を立てますし、どんなことがしたいかも考えてきました。でも、その通りになったためしがない(苦笑)。そしていつの間にか、想定外のことが目の前に現れ、仕方がないのでそれをやっていると、そのことがノウハウになったり、キャリアになったりしてきました。いま僕がやっていることは、20代のころはもちろんのこと、5年前ですら想定していなかったことをやっているのです。

そして、僕もそれが良かったんだ、と思っています。目標や計画はあったほうがいい。でもそれに縛られるくらいなら、なくてもいいとすら最近は思うようになりました。僕が見通せる未来などたかが知れています。そんな未来予測に基づいて立てた目標に縛られる必要はない。社会の状況も、自分が置かれた環境も、自分の気持ちも変わっていきます。そうした変化に合わせて、柔軟に行動したほうがいいのだ思います。

たとえば、現在僕は、会社で経理をやっているわけですが、こんな想定外のことはありません。やれと言われたときは、冗談じゃない、と思っていました。でもよく考えれば、診断士が財務・会計を知らない、苦手だと言って通用するのか、と考えると、強制的にこうしたポジションになれたことは幸運だったと思ったほうがいいのだと思います。自分じゃやらないですからね、苦手なことは。

さらに経理は、やりようによっては経営に直結します。というか、財務部や経営企画部がない我が社では、しないとおかしい。今までしてこなかったとしたら、いままでのほうがおかしいわけです。だとすれば、今までとは違うやり方を僕が作ればいい。そしてそれは確実に診断士としての自分のキャリアにプラスに働きます。

「目の前のことに立ち向かえない奴が、2年後3年後のことを語るのはおこがましい」
以前、リスペクトしている先輩から聞いた言葉です。以前の僕は、目の前のことから逃避しながら「いつかは」とだけ思ってきました。それではダメなんだ、といまあらためて思います。

これはたくさんの人に取材して教わったことですが、「人にお金を使ってもらうということが、いかに大変なことか」、認識しなければいけないと私は思っています。ビジネスに成功した多くの人が、それを語っていました。(p59)

好きなことを仕事にする、というのが昨今の流行りです。それ自体が間違っているとは思わないのですが、誤解すると痛い目にあうのではないか、という気がします。「好きを仕事に」の目線が自分に向いてしまえば、仕事として成り立たなくなるからです。

仕事というのは、他人に価値を提供し、対価をいただくものです。対価は普通、お金です。お金を使ってもらうわけです。そこに自分が好きかどうかや、自己実現などというものは関係ありません。他人を喜ばせたり楽しませたりするというところに着地させなければ仕事とは言えないでしょう。趣味じゃないんですから。

もちろん、好きなことのほうが上達も早いし、価値を提供しやすいということはあります。だから好きなことを仕事にということを否定しているわけではありません。ただあくまで、目線は提供される側に立たないと、お金は使ってもらえない、つまり仕事とは言えない、と僕は思っています。

そして、文章を書くことも同じだと思います。個人的な日記を書いているなら好きにすればいいでしょう。しかし、世に発表して他人の目にさらすような場合は、自分の好きだけでは価値の提供にはなりはしません。お金をいただく以上、「好き」だけで書くわけにはいかないだろうと思います。

「いや、私はお金をもらっていないから」好きなことを書いてもいい、という考え方もあると思います。それも否定はしませんが、少なくとも人様の時間をいくばくか使っていただいているわけです。だったらそれなりの価値を提供したい。

このブログにそれだけの価値があるかどうか、自信はありませんが、少なくとも志においては、そうありたいと思って書いてきました。