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投資は「きれいごと」で成功する――「あたたかい金融」で日本一をとった鎌倉投信の非常識な投資のルール/新井和宏




「これからの社会にほんとうに必要とされる会社、皆さまがファンとなって応援したくなるようないい会社」に投資することを運用方針にしている投資信託があります。鎌倉投信(株)が運用しているファンド「結い2101」です。

投資信託はたくさんありますが、こんな方針で運用しているファンドは他にはありません。これではまるで寄付をするのか、と思ってしまう内容です。しかし「結い2101」は基準価格が上昇しています。

金融業界にとって常識外れの方針を打ち出しながら、きちんと運用できているのはなぜなかのか。その投資方針・哲学などを、「鎌倉投信」の運用責任者・新井和宏さんが説明しているのが本書です。
<目次>
はじめに
第1章:「きれいごと」で成功した非常識すぎる「8つの投資法則」
第2章:「投資は科学」から「投資はまごころ」へ
――「リターン」を再定義する
第3章:「経営効率の悪い小型株」で、「リスク」はチャンスに変わる
――「リスク」を再定義する
第4章:「安く買って高く売る」に必要なのは金融工学ではなく「信頼」
――「投資」を再定義する
第5章:「格付け」よりも大切な「8つの会社の見方」
――「経済指標」を再定義する
第6章:企業価値は、過去の成功ではなく「ずるい仕組み」を持っているかどうかで判断する
――「ビジネス」を再定義する
第7章:金融機関の役割は、お金に眠る「つなぐ力」で社会を動かすこと
――「金融」を再定義する
おわりに

「金融投資」にどんなイメージを持っているでしょうか。ずいぶん変わってきたといえ、いまだに「胡散くらい」「危ない」と思っている人が多いと思います。「やっぱり、銀行が一番だ」という言葉をいまでも聞きます。

また「儲けるためにやる」ものだ、というイメージも強いでしょう。金融系のセミナーに行くと、「で、結局、なにが儲かるんですか?」と質問する人が必ずいます。今までの話を聴いてたのか、と思うわけですが(苦笑)

本来、金融投資の目的は、いますぐに必要としないお金を、いますぐ必要とされる場に動かすことです。お金を流す人は将来、そのリターンを受け取ります。

そう考えると、短期的に売買を繰り返す手法は、本来の投資の趣旨から外れているのではないか、というのが僕の考えです。目先の自分の利益だけを追いかけるのは、全否定はしませんが、決して王道ではあり得ません。

そして次に考えるなくてはいけないのは、「どこに」投資するかということです。それにはさまざまな考え方があり得ますが、鎌倉投信は「これからの社会にほんとうに必要とされる会社」だと、鎌倉投信が認めた会社に投資をする、方針でいます。

この考え方に、僕は完全に同意します。ただ、自分の力でそうした会社を見分けて、個別株に投資をするのは限界がある(そもそも上場していない会社も多い)ので、信頼した鎌倉投信のファンドに出資をするという方法を選んでいます。

社会性を追求すると、お客様からの信頼が生まれ、結果として儲かる時代になったのです。(p24)

「時代になった」と言い切る自信は僕にはないのですが、それでも少しづつそうした方向に動いているという感触はあります。その象徴こそが、鎌倉投資の存在であり、「結い2101」が「R&Iファンド大賞2013」で1位を取ったということだと思っています。

本来、企業は何らかの社会的な課題を解決するための商品を開発・製造・販売することで利潤を得る存在であるはずです。しかし現実は、企業の利潤追求と社会性をもった活動をすることは、必ずしも両立できるわけではありませんでした。

それでも、志を持った人たちが、社会的な課題を企業活動を通して解決していこうとされています。そういう企業に出資し、応援をする。それは金銭的なリターンのみならず、社会的課題(は、僕個人にとっても問題になり得ることです)の解決というリターンをもたらしてくれます。

すべての企業がこうした志を持ってくれればいいと思いますが、それは現実には難しいと思います。一定の期間の中で利益を上げなければ会社は存続できません。存続しなければ、雇用を守り(増やし)、税金を納めることもできませんから、利益を追求することも、企業の社会的な役割ではあります。ただ、利益追求の過程に問題をはらんでしまうことがあり得るということです。

でとしたら、「いいこと(社会的な課題を解決すること)をしないと儲からない社会」をつくることを目指すべきです。そして鎌倉投信の取り組みは、社会をその方向へ動かすひとつの原動力になり得ると僕は信じています。

それは簡単な話ではありません。しかしすでに、鎌倉投信が出資をしているということが与信となり、別な金融機関(銀行など)からの出資や融資を受けられるという動きも、一部にはできてきています。

意志あるお金は、社会を変えます。(p198)

僕の目から見て、「こんな企業に出資するのはどうなんだろう?」と思うことが増えない限り、できる範囲で鎌倉投信を、鎌倉投信の出資先を応援したいと思っています。その先には、日本社会が変わる可能性があると信じているからです。

PS
ちなみに、当たり前ですが僕は鎌倉投資の受益者です。つまり、毎月、積み立て投資をしているということです。そういう立場で書評をすると
「だから良く書くんだろう」
と言われてしますこともあります。
まあ、どう思われてもいいんですが(笑)、因果関係が逆です。僕は、鎌倉投資の哲学に強く共鳴したから、「結い2101」に出資することにしたのです。

鎌倉投信本