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どんな仕事でも必ず成果が出せる トヨタの自分で考える力/原 マサヒコ



トヨタ自動車のメカニック出身である原さんの新著です。前著もストーリー仕立てで非常にわかりやすく、前のブログで紹介させていただきました。(そのときのブログ⇒ 【読書】新人OLひなたと学ぶ どんな会社でも評価されるトヨタのPDCA/原 マサヒコ)。

今回もわかりやすい、だけでなく、物語になっていることによって頭で理解するだけでなく実感できる、という構成になっていると思います。

<目次>
はじめに
第1章 どうすれば成果はあがるのか【改善思考】
第2章 視点をずらして1+1=3にする【横展思考】
第3章 問題がわかれば九割解決できる【現場思考】
第4章 本質をどう見抜くのか?【真因思考】
第5章 スピードが解決を前進させる【行動思考】
あとがき
付録 「トヨタの口グセ」まとめ

目次にあるような、5つの思考法について、トヨタで使われているという「38の口グセ」を通して紹介されています。この口グセ、ビジネス書をよく読むような人なら一度は目にしたような内容のものが多いと思います。しかし本当に理解しているといえるのかどうか。

それぞれの口グセを切り取って、その言葉だけを見るとわかった気になると思いますが、それでは理解したことにはなりません。38句の中には、互いに矛盾しているのでは? と思われるような言葉も含まれます。僕はもし、この本を読まずに口グセだけを取り出して見た場合、「それは違うだろ」と思うものも実はあります。しかし、物語を全部読み終われば、すべての口グセが納得いくものになっていました。切り取った言葉だけで理解した気になってはダメだと思うのです。

(カバー)そでの部分に「どういう場面で、どう考え、動くか、思考から行動までのプロセスが一気にわかる!」と書かれています。あらゆる場面で万能な思考法など、それほど多くは存在しません。場面に紐づけて理解することが重要なんだと思います。

たとえば、p53に「代案もないのに反対するな」というのがあります。僕は「『反対をするなら代案を出せ』は同調圧力、異論封殺の手段だ」と普段は思っています。だから、「代案もないのに反対するな」だけ見れば、「それは違うんじゃないの」と思うわけです。しかし、この言葉が登場する場面を読むと、「やっぱり反対だけしてちゃ、ダメだよな」と思います。

なぜこの場面では理解できるのか、逆に普段僕が思っているのはどんな場面なのか、その違いを考えることで、それぞれの言葉が持つ本質的な意味に近づけるような気がしています。

この本では、主人公がそれぞれの口グセの意味を試行錯誤する場面が多々、登場します。それと一緒に自分も考えてみることで、より深い理解に到達できると思います。

「トヨタの○○」は世の中にあふれています。それだけ学ぶべきことが多い証拠です。しかし、本質を学ぶことなく取り入れることは、無駄どころか社会の害悪になりかねません。「ジャストインタイム」が典型ですが、形だけ真似ても、在庫を下請けに押し付ける、ただの下請けイジメにしかなりません。

この本で、トヨタの思考のシンプルな本質を学び、実践に活かすことで、本当の成果をあげることが可能になるのではないかと思っています。

「おわりに」にこんな一節があります。
日本人は「結果が出ないこと」「失敗すること」に対する考え方が特殊だな、と思うことがあります。これは、教育課程において「失敗は避けるものだ」と教えられて育っているからでないかと考えます。「失敗は避けるべきものである」と考えていると、「学び」という大きなメリットを享受することができないのではないでしょうか。
トヨタの現場にいた肌感覚から言うと、失敗というのは結果を出すための必須プロセスではないかと思うのです。(p261)
単純に教えられたことは、浅くしか身に付かない。自分で考えて行動し、フィードバックして考え、また行動する。そうした試行錯誤の先にしか、本当の力は身に付かないのだと思いました。

トヨタ