地元で愛され全国区へ 東京で勝てるブランドのつくりかた/山本聖



この本は、マザーハウスの山崎副社長に教えていただいて手に取りました。著者の山本さんは、元小田急百貨店のバイヤー。マザーハウスが、 小田急新宿店に出店するきっかけを作った方です。
現在は、一般社団法人「地球MD」の代表理事として、中小企業基盤整備機構の活動を中心に、日本各地の地域ブランドづくりの最前線に立たれています。

<目次>
序章 誰でも地域ブランドづくりはできる!
1章 地域ブランドとは何か
2章 出口から考える市場化
3章 売れる地域ブランドをつくるための5つのポイント
4章 地域ブランドのチームづくり
5章 マーケットへ団体戦で攻め込む
6章 人は「何」ではなく、「なぜ」に動かされる
7章 LOVE CHICHIBUプロジェクトが再起できた理由
8章 いしがきブランディングプロジェクトの歩み(特別寄稿)

いいものを作れば売れる という信仰は根強いものがあります。しかし現実はそんな簡単な話ではないことは、多くの人はわかっているはずです。
「うちの製品、品質には自信があるんだけど、売れない」
という話は、何度も何度も繰り返し聞いています。

商品の善し悪しを決めるのは作り手ではなく、マーケットです。(p33)

この現実を受け止めることから始まります。品質がいいのは当たり前、マーケットに届くように、見せ方や伝え方を工夫していかないと、商品は流通していきません。つまり、ブランディングしていかないといけないということです。

ブランディングという言葉に抵抗を示す方も、いまだにいらっしゃいます。ブランディングは、くずものに金メッキをすることではありません。もともと金であるものを、磨き上げて光り輝く金にしていくことです。

そんな売れる地域ブランドをつくるために必要なポイントを5つあげています。
「お客様のニーズを知る」「自分史を知る」「名を名乗る」「見せ方(売り場づくり)を知る」「流通を知る」
どれも大事にポイントだと思いますが、僕がハッとしたの「名を名乗る」でした。山本さんはこう書かれています。

ブランドについて私は、重要な特性を発見しました。この本でも何度も強調していくと思いますが、それは「ブランドは土地に宿る」ということです。(p37)

確かに多くの欧米の高級ブランドのロゴには地名が入っています。クリスチャンディオールのパリ、ダンヒルのロンドンなど。日本でも、銀座○○や築地○○という商品やお店がブランドになっています。ブランドとは、発祥の地を大切にするものなのだと思います。そしてそこはそのブランドにとって「聖地(メッカ)」になり、その地域の活性化に大きく貢献することにもなります。

また、「見せ方(売り場づくり)を知る」も盲点でした。これは販売する人が考えればいいと思っていたからです。しかし、商品コンセプトを大切にするなら売られ方もこだわるべきです。そしてそこまで込みで提案できることは、バイヤーもイメージしやすくなり、結局、受け入れてもらいやすくなるのです。

ただ、これだけ広範な分野をカバーしようとすれば、ひとりの人間がすべてを行うことは困難です。さまざまな分野のプロフェッショナルを集めて、チームを作っていかないとブランドをつくることはできません。

どんな人が必要なのか、どうやって役割を決めていくのか、などが、4・5章に書かれています。チームには地元の人も当然いなくてはいけませんし、客観的な目を持つ外部の人も必要です、公的な支援機関、地元金融機関などの協力も必要になるでしょう。リーダーの役割は、自分がすべてをこなしていこうとすることではなく、こうした集団をまとめあげ、方向性を調整していくことだと思います。

7章では、秩父のプロジェクトが紹介されています。これがとてもいい。この事例決して成功例ではありません。一度失敗し、仕切り直して進行中のプロジェクトです。普通こうした本の場合、成功例を紹介してしまいがちです。確かに成功例から学ぶこともあります。しかし、実際に動いてみればうまくいかないこと、失敗してしますことのほうが多いと思います。どんな失敗をしたのか、そこからどう立て直したのか、それを知ることのほうが、現実には役立つはずです。

ブランドをつくるということは、ストーリーを生み出していくことに他なりません。人は「なぜ」に動かされる、と書かれています。モノがあふれている時代、品質に大きな差がなければ、差別化できるのは、価格か、商品のストーリーです。価格は、海外で大量生産するような大企業に太刀打ちできるわけがありません。その商品をなぜ生み出したのか、その物語によって差別化をはかる必要があるのです。

とくに地域ブランドでは、商品のストーリーと地域のストーリーがリンクしていることが重要です。つまり、「私たちの地域にはこんな魅力があります。私たちはそれを活かしてこんな商品を作りました。この商品を通して将来はこんなことがしたいんです」という、地域の未来像と連動したブランド設計がいかにできるかが勝負になります。(p71)

言うのは簡単ですが実行するには大変なこともあります。時間も必要になります。しかし、そうやってブランド化されたものは長く残っていきます。日本各地にそんな成功例が増えていけば確実に日本は元気になります。そして自分も、その一翼を担うような仕事をしていきたいと思っています。

東京で勝てるブランドのつくりかた