7月1日、下半期の始まりの日に「マザーハウスカレッジ」に参加してきました。
マザーハウスの山崎副社長がホスト役になって、さまざまなゲストのお話しを聞き、また議論もできる場です。
コンセプトは
「Warm Heart, Cool Head」
なにか事を起こすには、熱い情熱がなくてはできません。一方、情熱だけではダメで、実務を着実に行う冷静さも必要です。世間にはそれぞれを学ぶ場はあります。気持ちを高める自己啓発セミナーはあるし、MBAのようなビジネススキルを学ぶ場もあります。しかし、両方いっぺんに議論できる場はほとんどない、ということでこういう形で開催されています。

mhc7月


最近、いわゆる「セミナー」というものに昔ほど参加しなくなっているのですが、マザーハウスカレッジだけは別。時間が許す限り参加するようにしています。

今回のゲストは、テラモーターズ株式会社の徳重徹社長でした、テラモーターズはアジア(フィリピン・ベトナム・インドなど)を中心活動されている、電動モーターバイクメーカーです。2010年設立のベンチャー企業なのですが、製造業のベンチャーというのはまず凄いと思います。どうしたって先行投資の額が大きくなりますから、資金調達の壁も高くなります。ところがすでに資本金16億676万円(資本準備金含む)。株主の面々も錚々たるメンバーが名を連ねています。徳重さんの情熱のたまものだという気がします。自分の事業に信念をもって突き進んでいるから、こういう結果を出せるのだと思います。

いい意味でクレイジーな雰囲気を醸し出している徳重さんでしたが、過去のお話しを聞くと、親には逆らえない普通の子供だったそうです。大学も新卒での就職も親と折り合いをつけて決めています。それが、大学受験やMBAの受験の失敗など座刷を経験し、それをバネにいまのようになっていったということです。挫折、失敗は決してマイナスではない。それをどう活かしていくかなんだとあらためて思います。

後半は「今、日本が世界で戦うために必要なこと」が議論のテーマになりました。情熱や信念が必要だという意見が多く出ました。僕もその通りだと思うのですが、なぜ多くの日本人がそれを持てないのか、そのことを考えていました。

結論はでないのですが、ひとつには、まだまだ日本は、国内だけで完結できる経済規模があるからではないか、と思います。映画を例にとれば、韓国は国内だけではビジネスが成り立たないので、最初から世界を目指して制作に入ります。日本は、なんだかんだ国内で回せてしまう。最低限、食べていけるくらいのことはできてしまいます。だから、なかなか世界を目指して制作するという機会が少なくなります。

これはどの産業にも言えるのではないかと思います。そして国内だけで経済が回るなら、それは本来幸せな話です。無理して世界に出ていくこともない、と僕などは思ってしまいます。しかし、これからの日本は、人口減少社会を迎え、ほっておけば経済の規模は縮小していきます。やはり世界を見据えて事業に取り組まざるを得ない時代が、すぐにやってきます。(本当はすでに始まっているのかもしれません)

外的環境のせいばかりにしたくはありませんが、環境の要素は大きい。徳重さんも山崎さんも、「無菌状態」という言葉を使われていました。無菌状態になり、失敗を極度に恐れるようになってしまった日本社会の問題が、日本人のメンタリティに現れているのです。

僕の教育に対する持論なのですが
「隔離するな、感染させて免疫をつけろ」
と思っています。失敗を経験させないように大事に育てるよりも、どんどん失敗してもいいから経験を積む方が、魅力的な大人になれると信じています。それに「無菌状態」といわれてしまう日本社会で、隔離されて育てばどうなってしまうのか。免疫がないまま大人になれば、非常に脆い精神しか持てなくなります。

国内でもいいので、さまざまな経験を積むこと。できれば若いうちに海外に出て、日本と違う、多様性がある社会を経験することは、これから海外で戦うためには必要なことだと確信しています。

僕自身は、これから海外に出て仕事をしようとは思っていないのですが、それでも、同世代の友人が、この歳になってから(笑)海外で仕事するというチャレンジをしているのを見ると、甘えているわけにもいかないな、と思います。実際に出ていくかどうかは別にして、いつでも出られるという気概はもっていないといけないと思います。また、診断士として、支援企業の海外進出のお手伝いをするという場面も想定されるわけで、気持ちの面でドメスティックに留まってしまわないようにしないといけないと感じました。

徳重さんが「高杉晋作が好きだ」と言われて(山口出身だし)、僕は日本史上、唯一尊敬している人物が高杉ですから、「同じだ」と思ってニヤニヤしていました。高杉という人も相当クレイジーな人で(笑)たった一人で藩内クーデタをおこしてみたり、当時は不可能と言われた、軍艦の夜襲を仕掛けてみたりした人です。でも、あとで振り返ると、彼なりに成功への道筋は描いていたのではないかと思える節があります。まさに「Warm Heart, Cool Head」な人でした。また強烈な「長州ナショナリズム」を持ちながら、上海での経験を活かして考え方を柔軟に変え、晩年は洋行(イギリス行き)をくわだてたりした、世界を常に意識した人でもありました。高杉が好んだ「狂」の字を意識して、これから様々なことに取り組んでいこうと決めました。

非常にいいきっかけをいただけた、刺激的な会でした。

PS
本筋とは離れますが、山崎さんが
「CFOの仕事はいかに低いコストで失敗を経験させるか」
というような話をされていました。つまり、失敗はつきものだから、1回の失敗で致命的な傷を負わないように手当をする、というようなことです。
僕はCFOではありませんが、経理をやらされている身として、目指すべき方向はここにあるのではないか、と思えました。いまの自分にそれができるのか、突き詰めて考えてみたいと思います。